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道なき道は、ただし書き ~道路(2)~

2014年12月8日 更新

前回は法42条の道路の話しを書きました。
おさらいすると、「建築でいう道路とは建築基準法第42条に適合した道のことで、これに適合しない道は道路ではありません。」となります。
(※都市計画区域内または準都市計画区域内の話になります)
皆さんの家の前の道は道路ですか?

 

 

さて、今回は建物のための敷地と道路との関係について書きたいと思います。
敷地と道路の関係は、建築基準法第43条に書かれています。

 

「建築物の敷地は、道路に2m以上接道しなくてはならない。」
つまり、敷地が道路に接している距離は2m以上必要となります。また、この接している道路を前面道路と言います。
(※接道距離は単に2m道路に接していればよいということでありませんのでご注意ください。また、地方公共団体が条例により接道距離などを規制する場合もありますので、気になる方は管轄の役所にお問い合わせ下さい。)

 

この敷地と道路の関係規定は、前回も書きましたが、安全・避難・消防活動などを考えての規制です。

「接道距離が2mない!」
「そもそも道路ではない!」
という敷地もあると思います。
そのような敷地には原則 建物を建てることはできません。
しかし、まったく無理ではありませんので、その方法をご紹介します。

 

この接道規定の法43条には「ただし書」があります。
「ただし書」というのは、
「〇〇は、~としなければならない。ただし、△△にあってはその限りではない。」
などの書かれ方をしている緩和条文を「ただし書」といいます。(ちなみに、建築基準法の法文内には「ただし」という単語は120くらい出てくるようです)
法43条のただし書は、
「ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。」
と書かれています。(特定行政庁とは何だ?・・・と説明をしていると話が進まないので、またの機会にしたいと思います。)

 

何だ、特定行政庁にお願いして許可を貰えばいいんだ・・・ という軽いノリではないことだけはお伝えしておきます。

 

このただし書は所謂 救済措置なので、役所のほうも何とかしてあげたいと相談にのってくれます。
ハードルは「建築審査会の同意」となります。
建築審査会は、法78条、79条に規定されています。
その委員さん達は、市町村長または知事から任命された有識者で、審査会は5人または7人で構成されています。委員さん達は建築業界人というわけでもなく、もちろん役人でもないかたで、公平に判断できる立場のひとということが条件になります。
つまり、その敷地に建物が建てられないと 可哀想 とか情けもかけることなく、安全かどうかで純粋に判断する組織です。
このハードル(同意)を超えることができれば、特定行政庁から建築許可が貰えるということになります。

 

さて、この「法43条ただし書の許可申請」の流れを簡単に紹介します。ただし、行政により多少違いがありますので、詳しくは管轄の行政に相談してください。

1.行政相談(どうやったら43条ただし書を許可してもらえるか)
  ・計画建物の間取りや立面計画図などが必要
  ・道路の形状などの図面などが必要

2.行政からの指導・要望を反映させた図面を作成
  ・許可申請するときには、建築確認申請図書なみの図面が必要
  ・近隣の承諾が必要な場合もある

3.審査会に申請
  ・審査会用の書類を用意

4.審査会の同意を得る
5.特定行政庁から建築許可が下りる
6.建築確認申請(やっと確認出しです)

 

という流れです。
順調にいっても確認申請を出すまで2ヶ月はかかるのではないでしょうか?
また、建築審査会は決まった日に開かれます。毎月開会するところもあれば、2ヶ月に1回というところもあります。決まった日に開かれるので、書類が間に合わなければ次の会というふうに最低でも1ヶ月単位で提出が伸びてゆきますので注意。
設計事務所も、43条ただし書申請のできるところとできないところもありますのでご注意ください。(建築確認申請とは別に許可申請費用もかかります)

 

「許可取ったし、着工できたし。オールクリア!
おめでとうございます。
しかし、オールクリアはちょっと楽観視しすぎのような気もします。
この建築許可は、この建物(プラン)限定の許可であることをお忘れなく。
将来、増築や建て替えなど、また建築確認申請を出す前にこの許可申請が必要になります。
ちょっと面倒ですが、でもこの敷地 相場よりお安くなっております。

 

道路(3)では、道路にまつわる怪奇現象について書きたいと思います。

 

執筆者

S,K

 

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