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第47条 構造耐力上主要な部分である継手又は仕口


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いよいよ、木造に関する施行令 第47条に来ました

第47条(構造耐力上主要な部分である継手又は仕口)です。

 

 平成28年(2016年)に生じた熊本地震での木造建築物の被災状況も、少しずつ明らかになってきました。前回まで、用語解説してきた第46条_構造耐力上必要な軸組等(耐力壁設計)を守る大切さが実感できますね。耐力壁の性能は、正しく施工された接合部があってこそ効果を発揮することも改めて確認されています。設計側だけでなく施工者も、正しい知識を持って施工を果たしているか?が、問われる事例も報告されています。

 

施行令は、今までの地震・台風などの被災とともに補足拡張してきた技術法令ですよね。

平成7年(1995年)の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)の教訓から、平成12年(2000年)の継手および仕口の具体的な構造方法が告示に示された背景があります。

 

建物がどのように破損、崩壊したのかを調査し改善を重ねる技術法令は、時代とともに変化しますので、設計者は法律解釈というよりは、成り立ちから注目してゆきたいものです。

 

さて、本文47条第1項は、以下の通り

 

第47条_構造耐力上主要な部分である継手又は仕口は、ボルト締、かすがい打、込み栓打その他の国土交通大臣が定める構造方法によりその部分の存在応力を伝えるように緊結しなければならない。

 この場合において横架材の丈が大きいこと、柱と鉄骨の横架材とが剛に接合していること等により柱に構造耐力上支障のある局部応力が生じるおそれがあるときは、当該柱を添え木等によって補強しなければならない。

 

 2_前項の規定によるボルト締には、ボルトの径に応じ有効な大きさと厚さを有する座金を使用しなければならない。

 

 条文はいたってシンプルな記述ですが、実際には接合方法・その検討方法は多種多様なバリエーションが考えられるため、汎用性は高いですが、普通の設計者では判断し辛くもあります。

 そのため、接合部も仕様規定として選択肢を限定することで、普通の設計者でも使いやすい構造関係技術基準として告示化され、前述した被災からの教訓を反映しています。

 

 ”平成12年建告示第1460号_木造の継手及び仕口の構造方法を定める件”は、①筋かい端部と軸組(柱や梁)との止めつけ部、 ②柱と横架材(梁や土台)との緊結方法について、仕様を明示しています。

 仕様を明示することで、確実な設計と現場施工指示が容易になるわけです。

 

 

 

 さて、基準解説書によると、力を伝達させる接合部は、継手と仕口として定義されております。

 

 継手:同じ種類の2本の部材同士が、一直線状に接合される部分

 仕口:2本の部材が上記以外の形態で接合される部分

 

 柱と梁をつなぐ部分は、よって全て仕口になりますね。では、継手はどんな部分でしょうか?

 梁の定尺寸法を超える長さを架ける際の梁同士を継ぐケースや、3階建てなどの柱同士を継ぐケース、トラスの軸材を接合させ るケースなどが考えられますね。

 

 いづれのケースでも、接合部に生じるであろう力(存在応力)を把握し、接合具によって力を伝達させねばなりません。

 

 

その力は力学上の分類の、圧縮力(C)でしょうか、引っ張り力(T)でしょうか、あるいはせん断力(Q)、それとも曲げ応力(M)なのか、それらを正しく認識することが重要ですね。

以下に接合部のモデルの考え方を解説します。

 

基本的に接合部は、母材(W1)→接合具(J)→母材(W2)の連結で成り立ちます。

例えば、梁受け金物(J)は、ドリフトピン(J1)と鋼板(J2)並びにボルト(座金付きもあります)(J3)で構成されています。

 J = J1 + J2 + J3

47jou

 柱(W1)と 梁(W2)をつなぐ仕口ですが、ここには、せん断力(Q)と引張力(T)が生じると想定します。

 この力の伝達を少し大袈裟に書くと、こんなにパーツがあるわけです。

 ①柱(W1)の繊維直交方向に対するボルト(J1)のせん断及び引っ張りに対する座金の効果

 ↓

 ②ボルト(J1)と鋼板(J2)のせん断及び引っ張りの伝達

 ↓ 

 ③鋼板(J2)とドリフトピン(J3)のせん断及び引っ張り伝達

 ↓

 ④ドリフトピン(J3)から梁(W2)へのせん断と引っ張り伝達

 これでやっとW1とW2が梁受け金物(J)でつながりました。

 もし在来軸組で接合具がない、釘も込み栓もかすがいも使わないのでしたら、木部同士の接合面が上記の力をどのように伝えて いるのか、説明が必要になるでしょう。

 

 この辺を明快にするのは工学的に難しく、実験検証して確かめるほうが現実的だったりします。

 あるいは、存在応力をどの要素で、どのくらい伝達させようかを設計します。この時に登場するのが以下の数冊ですね。

 ・木質構造設計規準・同解説_許容応力度・許容耐力設計(日本建築学会)

 ・木質構造接合部設計マニュアル(日本建築学会)

 ・木質構造接合部設計事例集(日本建築学会)

 ・木質構造基礎理論(日本建築学会)

 

 ここまで説明すると、冒頭で紹介した接合部の仕様規定に準じて設計することの便利さを感じて頂けるかもしれないですね。

 

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