靴の話

2018年1月12日 更新

「ほんとに小さいですねえ」
 ため息交じりで言われる言葉に、いつも苦笑いで応じます。
「はい、履けない靴はありません。歩けるかどうかは別ですが…」
 これまた私のお定まりのセリフです。
 ほんとになんでこうなったんでしょう? 聞きたいのは私の方です。

 

 靴の話です。
 下駄や草履の時代がちょっとうらやましいくらい、私には履ける靴がありません。以前はきちんと普通サイズが履けていたのですが、15年ほど前にひどい捻挫をして以来、左右のサイズが激しく異なるようになりました。おまけにヘルニアを患ってからは、同じ人間の足とは思えないほど右と左でむくみ方が違います。よって幅も甲も丈もない私の足は、とても贅沢になりました。

 

 本当にサイズがない。
 いやサイズはあるのですが、幅がありすぎたり、ヒールが高かったり、おばさん靴だったりと、用途や好み、予算に合いません。いつぞやは子供靴売り場に連れていかれまして、「冠婚葬祭に使うって言ったよね?」と店員を睨み付けたことも。サンダルやブーツは、多少サイズが合わなくてもごまかせるのですが、パンプスだけはそうはいかず、本当に苦労します。

 

 同じくサイズの大きい人も悩ましいこととは思います。ですが、最近は高身長の人が多くなったからか、割と数もデザインも豊富。SSコーナーはないのに、LLコーナーとかあったりして! もう「同士」じゃありません。

 

 童話の「シンデレラ」。 
 靴を片方忘れたために、それが決め手となり王子様と結婚できました。きっと彼女はLLかSSサイズの足であったのではないかと勝手に思っています。だって23.5センチとかだったら、候補者多数で、本人特定に手間暇がかかりすぎ、そのうち捜索を諦めてしまうのではないかと想像するからです。

 残念ながら現代では王子さまも来ません。サイズが小さくて良いことと言ったら、収納に困らないことと、居酒屋で靴を脱いだ時、たくさんの靴の中からパッと見つけられることくらいでしょうか? 
 次に生まれ変わるときには、「ぜひ普通サイズで!」と願う私です。

 

執筆者

M.K

 

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