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4号特例が2025年3月末日をもってサ終となります

2024年9月1日 更新

4号特例が2025年3月末日をもってサ終となります

 

建築業界の方であれば2025年4月に建築基準法が改正されることはご存じのことと思います。
業界外の方は何か大変なことなの? と思われているかもしれませんのでちょっと解説いたします。

4号特例を適用されて40年ほど経つようです。
4号特例撤廃論も結構前から言われてきましたが、とうとうこれにメスを入れる法改正が行われます。

巷では4号特例廃止とか縮小とか言われています。
4号特例は廃止? 縮小? どっち?

丁寧な言い方をすれば、「4号建築物が廃止され、確認の特例の対象規模が縮小」とい感じでしょうか。

そもそも4号建築物ってなに?
確認の特例ってなに?

◆4号建築物とは ※現行法
建物を建築しようとするときには、着工前に建築関連法規に適合しているかチェックを受けます。
これを確認申請といいます。(建築基準法第6条)
申請書と設計図など資料を揃えて役所や指定審査機関に提出しますが、この書類一式を申請図書といいます。
法第6条第1項には、確認申請における建物の用途規模等による種類分けがされています。
・法6条1項1号:1号建築物
劇場、病院、共同住宅などの特殊建築物でその用途が200㎡を超える建築物。「特建」
・法6条1項2号:2号建築物
木造建築物で、3階建て以上、延べ床面積500㎡を超え、軒高9mを超え、最高の高さ13mを超える建物。「中大規模木造」
・法6条1項3号:3号建築物
木造以外で、2階建て以上、延べ床面積200㎡を超える建物。「非木造」
・法6条1項4号:4号建築物
前出の1号~3号以外の建築物。「小規模建築物」
一般的な木造2階建て住宅などがこの4号建築物にあたります。

◆確認の特例とは ※現行法
法6条の四 に 確認の特例 が規定されています。
建築士の設計による4号建築物は特例の対象となっています。(同条1項3号)
確認の特例とは、申請図書の一部を省略および審査省略することです。
特例ありの4号建築物は構造規定の審査省略のため申請図書には構造関係書類の添付不要となります。
これが「4号特例」です。
4号特例があるため、4号建築物は構造を何も考えないでよいと勘違いされることもありますが、審査省略というだけで構造は設計した建築士が安全を確認しています。
4号建築物は構造設計(許容応力度計算など)は義務ではありませんが、構造仕様規定は遵守する必要があります。(建築基準法施行令第37条~第49条、他)
ちなみに木造建築物の構造計算が義務となる規模は、前出の2号建築物と同規模となります。(法20条1項3号)

◆4号建築物が廃止とは ※改正法
2025年4月の法改正により、法6条が以下のように変わります。
・1号建築物(特建)は変更なし。
・新2号建築物は、2階建て以上または延べ床面積が200㎡を超える建物となります。木造・非木造の区別はなくなります。
・新3号建築物は、1号・新2号建築物以外の建築物となります。平屋建てで延べ床面積が200㎡以下の建物となります。
現在4号建築物の木造2階建ての住宅は、法改正後は新2号建築物となります。

◆確認の特例の縮小とは ※改正法
確認の特例項目自体は現行法と同じ一部図書省略および審査省略ですが、対象が新3号建築物となるため適用縮小となります。
4月からは木造2階建ての住宅も構造関係図書の添付と構造審査を受けることになります。

◆木造2階建ても構造計算が必要になるの?
4月の法改正により、木造建築物の構造計算義務となる規模も改正されます。
改正法20条の木造建築物の構造計算義務要件は、3階建て以上、延べ床面積300㎡超え、最高の高さ16m超えの建築物となるようです。
階数は現行法と同じですが、延べ床面積が500㎡から300㎡に縮小されました。
現行法では最高軒高9m、高さ13mを超えるとルート2の構造計算が求められていましたが、改正により高さ16mまではルート1の構造計算でよくなります。
※ルート1は許容応力度計算のことで一般的な構造計算です。ルート2は許容応力度等計算といってルート1より少し検討事項が増え、構造設計1級建築士の関与が必要となります。
木造2階建て住宅で延べ床面積が300㎡以下であれば構造審査はありますが、構造計算は必要ありません。
構造計算をしない建物の構造審査は、壁量計算書等の簡易計算および構造仕様規定の審査になると思います。
また、これまでの壁量計算(令46条)のように単純に床面積に係数をかけて必要壁量を算出する方式から、地震力を算出して必要壁量を求めるという方法に代わりますので設計者さんはなれるまでちょっと手間が増えると思います。

◆設計者は大変になる?
これまでも設計の際に壁量計算などはやっていたと思いますので、慣れるまではちょっと大変になるかもしれません。
また、今まで構造図書としてまとめる必要がなかった書類を作成するので作業手間は増えます。
これを機に、構造計算義務はない建物でも構造設計事務所に構造計算依頼をかけるという設計者さんも増えると思います。
設計費用と設計期間は増える可能性は高いと考えています。
ただ、役所や審査機関さんのほうが設計者さん以上に大変になるかもしれません。
そのうちAI審査も開発されるかもしれませんね。

あと半年ほどで 4号特例が死語になり、3号特例が新語になります。
どうなるかはなってみなくては分かりませんが、少し混乱は避けられないと覚悟はしております。

 

 

執筆者:S.K

 

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