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おしゃれな長屋

2015年12月8日 更新

親戚の家に遊びに行った時の話です。
おばさんと買い出しのためにお店に向かう途中、近所の建築現場の前で
「ここ、何が建つと思う?」
住宅に囲まれたこの場所には、大きな2階建てのおしゃれな建物がもうすぐ竣工といった感じです。
門から短い敷地内通路があり、それをコの字に囲むような建物。玄関ドアが複数並んでいるのが見えました。
「アパートかな?」と私が切り出すと
「工事の看板には長屋って書いていたよ。」
「なるほど、長屋ね・・・」と相槌を打つ。
彼女は続けてこう漏らす
「最近の長屋はずいぶんとおしゃれなこって・・・」
そういうことか・・・、彼女の怪訝そうな顔の理由がわかった。

 

さて、みなさんは『長屋』にはどういうイメージをお持ちでしょうか?
昭和の下町の路地に並ぶ、あまり綺麗とも言えない小じんまりした平屋の賃貸家屋のイメージでしょうか?
もう廃れて、ほとんど長屋は見ないと思っている方や、なかには長屋を知らないという方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

実はこの長屋、今でも普通に建っていて、あまり珍しい建物ではないと思います。
やはり長屋という響きのイメージが悪いようで、最近ではタウンハウスやテラスハウスなどと呼んでいます。

 

では、なぜ看板には長屋などというダサい名前を書くのか・・・と思っている方もいると思います。
建築確認申請や建築工事のお知らせ看板、建築確認済看板などの公的な書式が決まっているものは法的な正式名称を使用することになっています。
では、長屋ではなく共同住宅でいいのでは・・・と思っている方もいらっしゃると思いますが、建築基準法では長屋と共同住宅とは区別された別物になります。
同じ賃貸なんだから・・・と頭によぎるかもしれませんが、法の建築形態(用途)には賃貸も分譲も持ち家も関係なくその建物の使用用途と形態などで建物用途を区別しています。
長屋も共同住宅も同じ集合住宅という住宅用途ですが、その形態の条件が異なります。
何が違うのでしょうか?

 

一般的にアパートやマンションと言われている建物の正式名称は共同住宅となります。
建物にもよりますが、エントランスから入り、共有廊下、共有階段などを通って玄関にたどり着く、大体こんな感じでしょうか?

 

タウンハウス(長屋)はどうでしょうか?
敷地入り口から敷地内の通路を通って玄関、または通路を通って住戸専用の階段を登って玄関といった感じでしょうか?

 

気づかれた方もいらっしゃると思いますが、長屋には共有エントランス、共有廊下、共有階段がありません。
長屋の形態条件は、上記の共有部分がなく、玄関は避難階(通常1階)もしくは避難階に通じる専用の階段等がある形態となります。

 

でも、長屋を建てるのではなくて アパートやマンションで よくない? って考えも過ります。

 

物件戸数としては、長屋よりアパートのほうが多いかもしれませんね。
しかし、東京都では結構 長屋も多いと思います。
その理由は、東京都建築安全条例(以下 安全条例)にあると思います。
安全条例の共同住宅の規制がちょっと厳しいため、それより規制が緩い長屋にするといった感じです。
ここでは詳しいことは書きませんが、共同住宅の住戸数などにより敷地の接道距離規制があったり消防活動用の空地(窓先空地)を敷地内に設ける規制などがあったりで、共同住宅事業計画のネックとなり長屋にシフトしてしまうという流れのようです。

(ところで窓先空地の規制は東京都独特でしょうか?神奈川にはなかったような?)
しかし最近では長屋の重層化などが危険視されていて、長屋の規制強化という話もあるようです。

 

どうでしょうか?ご近所に長屋はありますか? または住まれている方もいらっしゃるのでは?
長屋のいいところは、集合住宅でありながらちょっと戸建て感があるところですかね?

 

賃貸住宅をお探しの方、おしゃれな長屋はいかがですか?

 

執筆者

S,K

 

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