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誰のための家か

2017年8月23日 更新

長年住宅の設計に携わっております。

以前はお客さんへプランの提案を行い、図面修正し確認申請を行いました。実施図・契約図を作り、現場で職人さんやお客さんとコミュニケーションを持ち、完成引き渡しです。ご家族にとっての一大事業となる住宅づくりを、お手伝いする仕事は今になってやりがいを感じるものです。

 

現在は構造設計の分野が中心となり、顧客に直接プランについて話す機会はなくなりました。もちろん、意匠設計者がプランに込めた意気込みや狙いなどはくみ取りますし、話すことも多少あります。

 

 どんな暮らしを想定して、家は設計されているのか?
 基本的なことですが、重要でもあり、変化してきてもいます。

 

  とにかく家族が住めればいい
  家族の成長とともに、間取りの変化対応できる計画
  来るかもしれない大型地震に備えた、自己防御シェルター
  愛犬と快適な共同生活を営める空間
  将来的に転売する資産価値を高めるための計画

 

  省エネルギー対策の高いエコ生活
  森林保護と木質素材を満喫するウッディーライフ
  ワイルドな丸太と最小限のモノによるシンプルログ生活
  子供が学びやすく、集中力を高められる学力ハウス
  妻と夫、ふたりの生活を一緒にストックするいえ

 

  大自然のなかでの休暇を過ごす別荘
  都会のシゴトモードと、海辺のオフモードをつくるセカンドハウス
  猫が本能を発揮できる空間で、ヒトが快適に住める家
  家の中に熱帯の海を持ち込んだ、熱帯魚ハウス

 

  愛車(4輪・2輪)は自分の一部である
  停めたいのは分かるが、1階まるまるガレージハウス
  開放感がたまらないので、ほとんど吹き抜けにしたいんですが住宅
  お年寄りにはバリアフリー住宅
  空間には段差がほしいので、スキップ!スキップ!住宅

 

  とにかく暑いので、涼しくしてください住宅
  とにかく斜面地なので、滑らず安全に暮らす住宅
  隣が崖なので怖いんですよ、備えておきたい住宅
  なんでもいいから、安くしてくださいハウス
  モノが多すぎて、屋根裏までびっしり収納住宅

 

  屋上はBBQ会場です、ベランダはビアガーデンです、イベント住宅
  2,3,4世帯住宅
  地下は2階まであるんですハウス
  

好き放題書いてみましたが、ありましたよ。もっともっとありました。

 

建物の外側は、見栄えや公的な環境に及ぼす要素はありますので、自分の考えたことをすべてそのまま好き勝手に実現できないかもしれません。しかし、私有物でありますし、法令によって許される範囲で、願いをかなえるために考えるべきでしょう。

 

デザイナーや建築家がカッコよく、整った配置を目指すのも、住まいてが喜ぶためですしね。

 

我々構造設計者が、上記の住宅にどんな貢献ができるのかなあ。
単に地震や台風からの安全性だけでなく、なにかしら住まい手に提供できる設計があるのだと思います。

誰にとっての住宅ですか?
その人のオーダーに応えるエンジニアになりたいなあと、2017年夏のある日に感じました。

 

執筆者

M.I

 

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