トップページ > スタッフブログ > 自分の家は自分で設計する (後編)

自分の家は自分で設計する (後編)

2013年9月2日 更新

~建築士資格がなくても自分の家を設計したい~

 

新聞の折込広告などで分譲住宅の間取りをよく目にすると思います。 「これくらいの間取りなら自分でも設計できるよ」 と、思われたことのある方も少なくないと思います。 前回、建築士資格の有無にかかわらず、木造2階建て以下かつ延べ面積100㎡以下の建物なら誰でも設計することができるとお話しました。 今回は建築確認申請について話しをしたいと思います。

 

建築確認申請(業界通称:確認申請)とは、計画建物の設計内容を各関係法令に準拠した設計がされているか役所や民間審査機関が確認するための申請です。設計内容が「法的」に問題がなければ、審査後に「確認済証」が交付されます。 確認申請は許認可申請ではありません。法律に適合しているかの確認をしてもらう申請です。 「確認済証」が交付されないと着工ができないため、建築許可の申請と思っている方もいると思いますが正確ではありません。 その違いは何か…、建築許可は「この建物を法の規制内では建てられないが、許可を得て建てられるようになる」、確認申請は「法の規制内での設計だから、この設計通りにたてても法的問題はない」という感じでしょうか?(この説明も正確ではないと思いますが…) 確認申請は民間の審査機関もありますが、許可申請は役所等のみとなります。

 

さて、誰でも設計をしていいという「木造2階建て以下かつ延べ面積100㎡以下の建物」の確認申請はどうしたらいいのでしょうか? この建物は、建築基準法第6条第1項第四号に定める建物となります。通称、四号建築物と言われています。 「四号特例」、聞いたことある方もいらっしゃると思います。 この四号建築物の確認申請には審査簡略の特例が規定されています。つまり、申請図書の一部省略できるという緩和です。これを四号特例といいます。 申請図書とは、確認申請時に提出する申請書・図面など書類一式のことで、建物の用途、規模、設備などにより必要図書が違います。構造計算書もそのひとつになります。 四号特例対象だと、構造計算書を省略することができます。(計算書等を省略できるという話しで、構造的に安定している設計は遵守事項です) 「構造計算書がいらないなら、算数が苦手な自分でも申請できるね」と思われるのはちょっと早とちりです。 この四号特例の対象建物は、「建築士による設計」が条件です。 つまり、建築士資格を持たない方が設計すると四号特例の対象になりません。 計算書も作りましょう。

 

構造のハードルも高いのですが、意匠のハードルも想像以上に高いと思います。 意匠設計はただ絵(図面)を描いている訳ではありません。 先の確認申請の話しで「各関係法令」とさらっと流しましたが、結構ありますよ、法律。 ざっと上げると、建築基準法・建築基準法施行令・都市計画法・消防法・関係条例(東京だと、安全条例・中高層条例・緑化条例など)・関係指導要綱(法ではないが、役所からの指導)など。 全ての条文に当てはまるわけではありませんが、ポイントを知らないと必要条項も探せません。

 

実は以前、役所で申請の手続きをしていたその横で、建築士でない方が自分の家を設計して自分で確認申請する方法を相談していたという場面に遭遇しました。 役所の方も簡単なイメージを伝えて、「後は建築士に相談して、申請は一般の人には難しいから設計事務所にお願いされたほうがよい」と言っていました。 「いや、自分で申請したいんだ」と引かない彼に、 「では、あなたは構造計算がわかりますか? できますか? 建築基準法を読まれたことがありますか? 悪いことは言わない、設計事務所に相談したほうがいい。」と、畳み掛けました。 自分で設計・申請するという彼もすごいと思いましたが、役人の気持ちも分かります。

真っ白の紙に、家を描いていくことは、それなりに大変なのです。

チャレンジ精神旺盛な方への参考になれば幸いです。 😀

(完)

 

執筆者 S,K

 

cta1 cta2 cta3
ページの先頭へ