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-第6話- 「吉阪家の高さ関係は大丈夫??」

2018年5月18日 更新

池田チーフと一緒に、吉阪家の面積関係は法規を満たしていることを確認した由比ちゃん。今度は、高さ関係の確認をすることに。

池田チーフ!こんにちは!
池田チーフ
お、こんにちは。
今日お昼一緒にどうですか?我が家の高さ関係について、法令集と睨めっこして確認したので、聞いて頂きたくて。もちろん、チーフの奢りですけど(笑)
池田チーフ
逆だよね、普通(笑)。いいよ、行こう!
では、私の好きなイタリアンに!

 

 

 

・・・

 

 

 

池田チーフ
なかなかいけるねこのお店。構造設計のセンスはともかく、お店選びと味のセンスは良いモノを持っているね。
あ、そんなこと言っていいんですか!
池田チーフ
いや、こんな話はさておき、話を聞こうか。高さはどうだった?
これが問題無かったんですよ!
池田チーフ
ほう!では聞こうか。
では、さっそく!図面持ってきたので見てください。これが我が家の敷地です。(図1参照)

 

 

 

 

池田チーフ
法規上、建築物の高さの制限を決めるのは、代表的なものにどんな制限があるかい?
道路高さ制限※1、隣地高さ制限※2、北側高さ制限※3、などです。
池田チーフ
そうだね。他にも第1種および第2種低層住居専用地域における絶対高さ制限や、都市計画法における高度地区、例えば東京、横浜、大阪などにおいても高さ制限が定められているから、建築する場所や関係行政庁によって、どんな制限が掛かるかを忘れないようにすること。今回は、それには該当しないということでOKだね?
はい。なので、今回は先に挙げた3つの制限を、建物の各部分でクリアする必要があります。
池田チーフ
そうだね。確か吉阪家は、北側の階段室がある方が、2階建てだったから、検討はこちら側でやったのかな?
ええ。それぞれ行ったポイントも図面に明記してみました。北側と道路はA点で、隣地はB点で検討を行ってみました。
池田チーフ
いいね。
まとめたのがこの図面(図2参照)です!

 

 

 

 

 

 

池田チーフ
おお!
まず隣地高さ制限です。今回の土地は第一種中高層住居専用地域なので隣地高さ制限があります。隣地高さ制限は、建物から隣地までの距離を考慮すると、斜線はこうなります。
池田チーフ
そうだね。第1種および第2種低層住居専用地域では、隣地高さ制限はないからね。後退距離の測定や距離の算定方法は、どうしているかな?
軒、ひさし、バルコニーなどを含めた建物全体から境界線までの水平距離としています。
池田チーフ
外壁仕上げ面ではなくて、軒なども含まれることに注意だね。
ええ。
池田チーフ
あとは、制限の緩和があるよね。
はい。えーっと、確か、建築物の敷地が公園、広場、水面と線路敷がある場合や接する場合は、隣地境界線を水面と線路敷の幅の1/2だけ外側にあると見なせます。あとは、隣地との高低差です!
池田チーフ
その通り。高低差については、建物の敷地の地盤面が北側の隣地の地盤面より1m以上低い場合は、高低差から1m減じたものの1/2だけ高い位置から、高さを算定することができるね。よし、次にいこう!
良かった(笑)。続いて、北側高さ制限です。第一種中高層住居専用地域なので、北側制限をうけます。斜線のスタートは道路反対側から考えて、こうなります。真北方向に道路があるため、道路境界線から高さの算定をしています。
池田チーフ
北側斜線は、第1種および第2種低層住居専用地域、第1種および第2種中高層住居専用地域で制限をうけるね。低層地域と中高層地域では計算が異なるから、その点も注意だね。
はい。あと、北側にも緩和規定がありますね。内容は隣地と同じですね。
池田チーフ
ちょっとまった!北側の場合は、公園、広場は含まれないよ!法文で『水面と線路敷がある場合は~』となっているはずだね。
あ!見落としてました。すみません。
池田チーフ
今回の土地には関係ないから、大丈夫だけど、今後、注意だね。
はい!
池田チーフ
最後、道路斜線!
道路斜線は、道路の反対側に建物の後退距離を考慮して、こうなります。ちなみに、この後退距離ですが、敷地内に、物置、ポーチ、門や塀がある場合、条件を満たせば、これらが無いものとして、後退距離を算定できます。
池田チーフ
緩和規定だね。今回、2以上の道路が敷地に接しているけど、これはどう考えたのかな?
今回、両方とも幅員が4mのため該当しませんが、道路幅員に違いがある場合は、最大の前面道路に幅員を合わせられる緩和規定があります。
池田チーフ
そうだね。2Aかつ35m以内だね。
そんな言い方があるんですか?
池田チーフ
うん。『幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35m以内の区域および、その他の前面道路の中心線からの水平距離が10mを超える地域については、全ての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす』。これを省略して、2Aかつ35m!!略したくなるだろう、ふぅ。。。(笑)
すごい!確かに。
池田チーフ
他にも、隣地、北側にも類似の緩和があるように、道路にも、前面道路の反対側に公園や広場がある場合は、緩和規定があるね。
そして高低差も!
池田チーフ
ただし、高低差に関しては、敷地の地盤面が前面道路より1m高い場合だからね。隣地、北側は『1m低い』だったね。
そうでした!
池田チーフ
さて、それを踏まえてどんな斜線になったのかな??って、あれ?ぶつかってるね!この高さはなんだい?2階建てでは無くなってるの?
実は少し変えて、屋上に出られるようにしたプランも考えてみたんです!
池田チーフ
ってことは階段室かい?しかもぶつかっているから、これは満足していないね。
ふふふ、チーフ。実は、大丈夫なんです。
池田チーフ
……階段室……道路………。もしや!由比君、この階段室の面積は建築面積に対する割合は何分の一だい?
1/20です。さては、分かりましたね!
池田チーフ
分かったよ。階段室の高さが含まれない、ただし書きの適用だね。
そうなんです!道路高さ制限においては、当該階段室は12mまでは建築物の高さに算入されないんです。
池田チーフ
基準法施行令第2条 第6項ロのただし書き、「階段室の水平投影面積が建築面積の1/8以下の場合は、当該建築物の高さに算入しない。」だ
ご明答♪
池田チーフ
ちゃんと法令集を読んでいるね。ただし、北側斜線の場合は、除外規定になることが明記されているから気を付けないとね。
ありがとうございます。あと、北側にも道路がありますが、こちらは載せてませんが、クリアしてます!

というわけで、高さもOKだったんです!

池田チーフ
そのようだね。ただし、階段室の面積が増えたことで、容積率や建蔽率に影響がないかは、確認しておくこと!
はい!
池田チーフ
よし、じゃあ今日はおれの奢りだ!
やったー♪

 

                                            第7話「水平構面」に続く…

 

※1 建築基準法 第56条1項一号、法別表3

※2 建築基準法 第56条1項二号

※3 建築基準法 第56条1項三号

 

 

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