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-第7話-「吉阪家の床や屋根はピザ生地で出来ている?!前編」

2018年7月18日 更新

 
池田チーフから、法規に関してたくさんアドバイスをもらった由比ちゃん。今日は、夕飯タイムにみんなで家についてお話しているようです。

 

ふう、ご馳走様。お父さん、家を建てるのって大変だね。
そうだね。プランニングももちろんそうだけど、建築基準法を守らなければいけないし、でも自分の思いも叶えたい。
うん。その狭間を、客観的に調整できるのが、建築士さんなんだろうなぁ。うー、先は長い。。。
どうしたのそんな疲れた顔して!なんとかなるわよー。そんなことよりも、どうかなこのプラン!

 

 

 

 

吹抜けが増えているね。それに、、、
屋根にも開口がついてる!素敵!!
でしょう!!いっそのこと、吹抜けにてして、屋根から光を取り入れて、リビングを広―く開放的に追加したいじゃない!それに、寝室から、みんなの顔が見えたり、声が聞こえるから、安心するし。
プライバシーがないのはいやだ。
あら、みんながどこにいるか分かるって、大事なことなのよ。」
廣のいうことも分かるけど、いいかも!でも、待って。吹抜けってことは、床が全くないのよね。それでも大丈夫なのかしら。
「屋根も窓が入っているってことは、箱として弱いイメージがあるね。
そう思う!よし、これをもって、事務所のチーフに相談してみるね。

 

 

                     ・・・

 

池田チーフ!こんにちは!
池田チーフ
お、こんにちは。
今回は大きな吹抜けを作ってみました!どうです、採光とれて最高!なんつって。。。
池田チーフ
家にも君にもツッコミどころが満載で、さすがの私もつっこみ切れないよ
そんなこと言わず、まずはこれを見てください。
池田チーフ
どれどれ。大きな吹抜けと勾配天井、そして屋根で採光。意匠的には最高だね。でも構造的には再考だね。
チーフ??
池田チーフ
ついつい、由比君に釣られてくだらないことを言ってしまったよ。気を取り直して始めよう。こんな風に屋根に開口を開けたり、吹抜けがある家が人気みたいだけど、由比君はどう思う?
えーっと、こう、ふにゃふにゃして、揺れそうです(笑)
池田チーフ
そういうイメージは大事だね。そうだね。架構としてはあまり好ましくないね。住宅を構成する床や屋根は、水平構面といって、水平力*を伝達するために必要で、かつ重要な構造的な面なんだ。
前に壁量の話(第4話「46条壁量検討って何??」)でも水平力の話が出ましたけど、水平力を負担するのは耐力壁ですよね。で、その水平力を伝達するのが床、ということですか?ということは、床が無いと、水平力を伝達できない・・・
池田チーフ
そう。床で水平力が伝達できないとどうなるとどうなると思う?
その耐力壁はあっても意味ない!
池田チーフ
そうだね。建物に働く力を、床を使って、耐力壁に均等に力を流してあげる。それが、水平構面だ。
分かりました!ということは、取り急ぎ、床をはればよいのですね!
池田チーフ
そう!と言いたいところだけど、そんな簡単ではないのが、難しいところなんだ。想像してごらん、例えば、床が、そうだな、焼く前のピザの生地で出来ていたら、どうなる思う?
間違いなくちぎれます(笑)
池田チーフ
ごめんね。たとえが悪かったけど、その通り(笑)。千切れてしまうだろう。
はい。耐力壁が自由に動いて、うまい表現が無いのですが、耐力壁が水平力を負担するということは、その負担する大きさによって、動くと思われるので、やっぱり床がくねくねしてしまいます。バラバラに動くというか。
池田チーフ
そうだね。ちぎれるまでいかないまでも、変形が大きくなるね。それを柔床仮定というんだ。重傷ではないよ。
チーフ、それ既に重症ですよ。。。
池田チーフ
冗談はさておき、では、床が、例えば、焼いたピザの生地で固められていたとしたらどうなると思う?
またピザですか。よっぽどこないだのイタリアンがおいしかったんですかね(笑)。えっと、固いということは、ちぎれずに、一緒に動くと思います。
池田チーフ
そうだね。しっかりとした耐力をもった合板で固められていれば、全ての点で動きが同じになる。これを剛床仮定と言うんだ。
でも近所のおうちで、2階建てで、吹抜けが大きくて、屋根もうちみたいな家があるのですが、あれは何故成り立っているのですか。
池田チーフ
可能性としては、壁量規定のところの補足で話したように、4号物件では、確認申請には構造計算書の添付は必要ないから、それで、建ててしまっているケースもあるし、きちんと構造的に安全を確認している場合もある。
うちはちゃんと確認したいです。
池田チーフ
そうだね。少し話がずれたけど、床を強くするということは、耐力壁に均等に力を分散するためにも、必要なんだ。逆に言うと、耐力壁がもつ耐力をきちんと引き出してあげるためにも、効き方にばらつきを生じさせないように、剛床にする必要があるんだ。」
今回の家のプランは、そうなると、床も屋根も空きっぱなしで、ちゃんと、デッキ側の耐力壁の力を発揮させられない気がします。
池田チーフ
キャットウォーク、バルコニーで床構面の代わりとすることもできる。ただし構造計算にて、検証は必要だけどね
ということは、床に段差がある場合もだめなのですか?
池田チーフ
おっと時間だ、それはまたの機会で!!

 

第8話「吉阪家の床や屋根はピザ生地で出来ている?!後編」に続く

 

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