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-第10話-「縁の下の力持ち、基礎のお話① -由比ちゃん、ハイヒールでイケメンの足を踏む?!-」

2018年10月24日 更新

  前回は隆正おじさんと池田チーフと一緒に、木造建築物の接合部の大切さを知った由比ちゃん。

 今回は、基礎についてお勉強しているようです。

 

 

池田さーん、そろそろ、“アレ”のことおしえてくれてもいいんじゃないですか??
池田チーフ
ん?“アレ”って??
基礎ですよ、基礎!
池田チーフ
ああ、基礎ね。ようやくやる気になったんだね。構造力学。構造力学は大事だよ。構造設計の基礎だからね。
あぁぁ、力学は無理です。。。そっちの基礎じゃなくて、建物の“基礎”です。先日、隆正おじさんとの別れ際に、基礎の話をしたじゃないですか~!

 

【前回の話のあと・・・】

隆正
どうだい由比ちゃん。

今日はいろいろと収穫があったんじゃないかな。


ありがとうございました。また、教えてください!

池田チーフ
本当に今日はありがとうございました。綺麗にまとまった後に恐縮ですが、最後に耐力壁の足元の納まりを見せてもらっても良いですか

隆正
いいですよ。せっかくなので角金物とホールダウン金物があるところにしましょう。

横にも縦にも、引っ張りにはホールダウン金物!ですね。
 

池田チーフ
なんだかキャッチフレーズみたいだね。

隆正
こちらです。角金物は柱と土台に、ホールダウン金物は、柱とアンカーボルトで基礎に緊結してあります。」

 

 

           

 

              

             

           

 

 

 

            

 

 

あ、ほんとうだ。角金物は柱と土台だけに緊結されているけれど、ホールダウン金物の方は、アンカーボルトが土台を貫通して、基礎に繋がってますね。これは何故ですか??

池田チーフ
それは、帰って考えてみてごらん。次のテーマは構造力学か基礎かもね。

 

★ ★ ★

 

って、くだりがあったじゃないですかー。続きの話しをしましょうよ-。
池田チーフ
ああ、思い出したよ。でもその前に、まずは基礎の基本的な役割について知っておいたほうが良いかな。早速だけど、由比君。ずばり、基礎は何のためにあると思う??
また、上手くはぐらかされた気がする。。。えっと、基礎の役割は、建物の重さを支えることと、地震が来たときに建物が動かないように、地面に踏ん張ること!です。
池田チーフ
うん、まあ大体あっているけど、大事なことが抜けてるね。それは、地面に建物の力を伝えること、だ。
基礎が建物を支えて、それを支えているのが、地面ということですね。
池田チーフ
そう。そして、その基礎を支える地面の力を、地耐力というんだ。下にあるものが上のものを支える。地球の重力に支配されている物体は全てこの法則に従う。力の流れは上から下に、が大原則だ。
ということは、基礎の構造がいくら強固でも、地面が弱ければ意味がない、ってことですよね。
池田チーフ
うん。住宅だろうが高層ビルだろうが、地盤が弱ければ沈んでしまう。
でも、日本全国、世界の全ての地面が強いわけでは無いのですよね?あ、かの有名なピサの斜塔も傾いているのは、そのせいですよね。地面が一様に強いわけではないから。
池田チーフ
そうだね。地盤強さや地面の状況もそうだけど、ピサの斜塔は、その形状のために傾いたとも考えられる。つまり、塔のように、地面に接する面積が狭くて高い建物ではなくて、平面的に広い建物であれば、傾斜する状況は起こらなかったかもしれないんだ。どういうことか、分かるかい?
うーんと、、、あ、点と面の違い!!ですね
池田チーフ
その通り。専門用語でいうと、接地圧の違いだね。この接地圧が、基礎を設計する上で、重要になってくる。その話はいずれするとして、基礎というのは、建物の重量や平面や立面の形状を考えて選択しなければならない。つまり、建物には適した基礎の形状があるんだ。実際に、ピサの斜塔のあるピサ大聖堂の他の建物が傾いたという話は聞いたことがないね。
なるほど。良く分かりました!
池田チーフ
よし。では続いて、基礎の種類について知っておこう。
ようやく、専門的な基礎の話になってきましたね。
池田チーフ
基礎には、大きく分けて直接基礎と杭基礎がある。さらに、直接基礎にはベタ基礎、布基礎、独立基礎がある。この図を見てごらん。

 

     

 

     

もう4種類も出てきました。。。
池田チーフ
続けるよ。次に使い分けについて。今出てきたベタ基礎、布基礎、独立基礎のうち、①地盤が固い場合に採用できるのは、どの基礎かな?逆に、②地盤が弱い基礎に採用できるのはどの基礎かな?
さっきの点と面、接地圧の話ですね。えっと、面積が小さいのが、独立基礎、逆に大きいのがベタ基礎だから、①は独立基礎で、②ベタ基礎です。
池田チーフ
そうだね。接地圧を小さくできるのがベタ基礎で、接地圧が大きくなるのが、布基礎や独立基礎だね。もちろん、例外もあるけれどね。形状としては、独立基礎の底盤を一方向に伸ばしたのが布基礎、布基礎の底盤を直行方向に広くしたのが、ベタ基礎と考えると分かりやすいかもね。
私、地盤の強い場所に採用するのがベタ基礎と思ってました。どーんと大きな面で構えるからです。でも、それは、地面に力を分散させるために必要だったからなのですね。
池田チーフ
そうなんだ。ベタ基礎の方が、地耐力が弱い箇所に使用されるんだよ。それに比べて、布基礎や独立基礎の方が、地面に力を伝える範囲が小さい、つまり接地圧が大きくなる。よって、大きな地耐力が必要だから、布基礎や独立基礎を使える個所は、ベタ基礎の場所よりも、良い地盤と言えるね。
なるほどー。
池田チーフ
そうそう、接地圧を理解するために分かりやすい話があるよ。由比君は電車の中で、ハイヒールで踏まれたことはあるかい?
あります!・・・あ、そっか!それは、接地圧の考え方ですね。確かに、電車の中で、スニーカーで踏まれるよりも、ハイヒールで踏まれる方が、痛いですもんね。実際、、骨折した人もいるみたいですよ。。。あいたたた・・・。
池田チーフ
うん。どれくらいの荷重がかかるか、簡単に計算できるからやってみよう。例えば、由比君の体重を50kgと仮定して、つま先のとがったハイヒールを柄にもなく履いたとしよう。由比君は電車に乗っている。今夜は飲み会で酔っぱらっていたのもあり、電車の揺れに耐えきれずに後ろのイケメンの足を踏んでしまったとする。仮に、全体重の半分がハイヒールの先端にかかったとすると、先端の接地圧はいくつかな??ハイヒールの接地面積を1cm四方とする。
問題を解く前にチーフ、一言、いいですか。

体重と言い、ハイヒールのくだりといい、設定に悪意が込められてませんか??

私、これでも、一応、女子なんですけど。

池田チーフ
まあまあ設定は気にせず。

さあ、どうなる??

もー!チーフ!今度絶対踏みますからね(`ヘ´)

答えは、イケメンは笑って許してくれる!です。

池田チーフ
由比君、真面目にやりたまえ。
ふざけたのは、チーフが先じゃないですか!もう!!

、、、えっと、ハイヒールの接地面積が1cm四方、つまり、0.0001m2なので、50kg/2/0.0001m2=250000kg/m2。、、、

え?!250t/m2!!ですか?!(※1t=1000kg)

池田チーフ
そうなるね。建物の接地圧の目安は、2階建てで0.5~0.7t/m2、3階建てでも1.0~1.2t/m2だから、家よりも250倍くらい大きな接地圧が足にかかってるんだ。
うわー、、、これじゃあ、ハイヒールなんてうかつに履けないですね。気をつけようっと。
池田チーフ
うん、、、。うん?

由比君は、スニーカーの方が似合うから大丈夫だと思うよ。

・・・さて、綺麗にまとまったところで、今回はおしまいにしよう♪ 次回は、基礎の設計方法と、隆正さんの話の続きかな。

わーい!いよいよだー!

 

・・・って、全然きれいに終わってないんですけど!

 

 第11話「縁の下の力持ち、基礎のお話②」に続く 

 

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