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-第11話-「縁の下の力持ち、基礎のお話② -イケメンチーフ?とピザと基礎-」

2018年11月22日 更新

 前回の引き続き基礎のお話。今回はなんと社内一イケメン?のチーフがピザをごちそうしてくれるようです。さて、その真意は・・・?

池田チーフ
おはよう由衣くん、いま時間どうかな?
ごめんなさいチーフ。いまは、週末に食べるピザを選定しているので無理です!
池田チーフ
あ、そう。せっかく、また由衣くんの好きなピザが出てくる話をしようと思ったのになぁ。
え!それを早く言ってくださいよー何ですか?何ですか?
池田チーフ
楽しい楽しい、基礎のお話だ!
・・・ごめんなさい。やっぱりピザを選びます。
池田チーフ
まあ、待て待て。前回の続きの話をしなければいけないだろう?前回どんな話だったか覚えてるかい?
私、とても忙しいんですよー。・・・基礎はとっても重要だって話です。
池田チーフ
とっても、ざっくりとしているね。間違ってはいないが、構造を学ぶものとして、ここからはどうやって基礎の計算をしているか、せっかくの機会だから、少し詳しく見ていこう。前回学んだ、住宅によく採用されるベタ基礎についてだ。形状や特徴は大体覚えているかな?
ベタ基礎は、布基礎に比べると地耐力が弱い場所に適した、大きな版で地面に力を伝達する基礎です。
池田チーフ
そうだね。隆正おじさんの現場で見たベタ基礎にはどんな印象を受けたかな。
そうですね。部屋ごとに細かく区切られていた気がします。ベタ基礎というと、もっと部屋を跨いだ大きな盤でドーンと構える印象があったんですけど。
池田チーフ
耐力壁の下や、柱を受ける土台の下には基礎の立ち上がりを設けなけらばならないから、部屋ごとに区切られているのは正しいことなんだ。それに、もちろん大きな区画で区切ることも可能だよ。どちらかというと間取りの影響が大きいね。
やっぱりそうなんですね。例えば、壁が離れている大きな間取りの部屋なんかは、必然的に大きな区画になりますよね??
池田チーフ
そうだね。では、逆に質問だけど、ベタ基礎はどこまで広くできると思う??
建物の縁の下の力持ちである基礎は、大地の果てまで、しっかりあなたを支えます!ということで、無限大!
池田チーフ
ようやく調子が出てきたね。
すみません。でも、ある程度は大きな面積がとれるのではないでしょうか??
池田チーフ
力を分散するためには、大きな面積が必要なのはその通りなんだけど、それだと、スラブが厚くなったり、密な配筋が必要になってしまい、経済設計とは言えないんだ。
なんでも大きくすれば良いものでもないのですね。
池田チーフ
そう。そこで、それを助けてくれるのが立ち上がり。立上がりを設ける事で、基礎に固定度が与えられて、基礎を設計する際に固定条件として反映できるんだ。
固定度?固定条件?
池田チーフ
詳細は後に回すとして、まずは、どこに立ち上がりを設けるべきなのかを考えてみよう。そのためには基礎に働く力を考えよう!これも前回学んだね。何だったか覚えているかな?
地反力です!
池田チーフ
良く覚えていたね。お次は、由比君の大好きなあれに登場してもらおう。ベタ基礎にどんな力が働くかを考えるには、あれがもって来い!なんだ。
あれってなんですか??
池田チーフ
由衣くんの大好物と言えば・・・?
ピザ!!・・・え?!なぜですか??水平構面の時も登場しましたけど、またピザですか??万能ですね。
池田チーフ
今日は実物を使って体感した方が分かりやすいから、これから駅前のピザ屋さんに行ってみようか。
やったーチーフ!素敵!イケメンです!
池田チーフ
・・・本当に君は分かりやすいなぁ。

 

-駅前の話題のピザ屋さんに到着!-

 

前に話をしていて来たかったんですよーここ。好きなピザ頼んでいいですか?
池田チーフ
いいよ。ただし、SとMとLサイズを一枚づつ必ず頼んでね。
えー太っ腹!!分かりました!!

 

-ピザの到着!!-

 

池田チーフ
さあ役者はそろった。冷めないうちに早速いこう。基礎をピザに例えると、建物の外周部の立ち上がりが、ピザのチーズの入った耳!スラブが具の乗った生地の部分だ。
冷めないうちに食べるんじゃないんですか?!って、立ち上がりが耳で、生地がスラブですか??そんな風に例えられるなんて、想像もしなかったです。
池田チーフ
食べ終えた時には分かっているよ。さてここからは、構造力学の世界。ベタ基礎にはどういう力が働いている?
えっと、地反力なので、下から突き上げるような力です。
池田チーフ
そうだね。では、同じような力をピザにかけてみよう。ただし、この状態で下から力をかけるのは難しいから、ここでは、上からの力と考えよう。勘違いしないようにね。
はい。そして、食べないようにします(笑)
池田チーフ
よし。ここにS、M、Lの3サイズのピザがあるね。まずはSサイズのピザの耳を持って持ち上げるとみるとどうなる?
特に形状に変化はないですね。少しだけ真ん中がくぼむ程度です。
池田チーフ
では次にMサイズ。
いい匂い~じゃなかった!よいしょっと。あ、Sサイズに比べて真ん中のあたりが大きく下側に凹みます。
池田チーフ
そう。力の向きは逆だけど、これが地反力だ。最後にLサイズのピザだ。もう、どんなことが起こるか想像つくね。
チーフも手伝ってください!よいしょ!・・・生地が重さに耐えきれなくなって、具が全部下に落ちてそうになってますー涙。はやく食べましょう(笑)
池田チーフ
下ろしていいよ。さて、このことからどんなことがわかる?
え、まだ食べないんですかー。ふう。えっと、チーズイン耳のお陰で、生地の周りが拘束されていて、生地のたわみが小さくなります。そして、サイズが小さいほど生地のたわみが小さくなりますね!
池田チーフ
そう。これがさっき言っていたことだよ。ピザの生地で例えたスラブを、ある程度の大きさで区切ることで、地反力を受ける範囲を小さくできる。ピザの耳で例えた立上がりを設けることで、固定条件や固定度を加味すれば、配筋や厚みも変わってくるから経済設計に繋がるんだ。
固定条件かぁ。
池田チーフ
そう。これをもっと分かりやすく理解するために、Lサイズのピザを8等分に切ってみよう。どんな形になる?
やってみますね。うまくきれたかなー。扇型になります。
池田チーフ
よし、ではこのピザを食べよう!
やったー!ようやく!
池田チーフ
と、いきたいところだけど、その前に、どうやって食べようとする??
もちろん、先端が垂れてしまうので、下からかぶりつきます(笑)
池田チーフ
由衣くん、もうちょっと振る舞いをおしとやかにした方がいいんじゃないかな?
つい(笑)。そうですね。お偉いさんがいるときは、先端が垂れないように、こうやって、ピザを舟形にして食べますね。
池田チーフ
いいね。なぜ垂れてしまうかわかるかな。
切ったからですね。
池田チーフ
うん。扇型に切ってしまったことで、生地の繋がりが無くなってしまったね。そして、耳のある部分が1辺だけになって、下に垂れてしまう。これが、固定条件と固定度だ。
・・・なるほど!!つまり、ピザが8等分に切り分けられてしまったことで、生地同士の固定条件がなくなって、耳しか固定度が高い部分が残らなかった、それで、弱い部分が曲がってしまうというわけですね。
池田チーフ
ピザとなると理解が早いね(笑)。そうだね。少し固定条件からは話しが外れるけど、さっき舟形にして食べるって言ったよね?
ええ。そうすると、生地がしならなくなります。
池田チーフ
それは、実は、生地に剛性を与えていることになる。
え?私、無意識のうちに構造力学的に正しいことをしてきたんですね。
池田チーフ
そうだね。建築物でも下や上に凸になった屋根を見ることがあるだろう。例えば、自転車置き場で見かける、でこぼこした金属の折半屋根。あれは、平らな板だと長く出来ずに曲がってしまうけれど、折ることで板に剛性を与えて、成り立たせているんだ。
競技場でも、下に湾曲して突き出した屋根とかありますもんね。
池田チーフ
うん。このようにして、力学を考えることで、薄くて軽い材料でも、素材の何倍もの重さやスパンを飛ばすことが出来ることができるんだ。どうだい?構造力学が楽しくなってきただろう?
こうやってピザと一緒に勉強できれば、です(笑)
池田チーフ
相変わらずだね(笑)。さて、基礎の理解も深まって頭も満足したところで、我々のお腹も満足させてあげようか!
やったー!いよいよですね。頂きまーす♪

 

 第12話「部材検討ってなあに?!(仮)」に続く

 

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