こんにちは、伊藤です。
ちょっと前の話になりますが、11月2日に当事務所が所属する団体の仕事で築40年ほどの木造の幼稚園の耐震診断のための現況調査に行ってきました。
地下鉄グリーンラインの港南中央駅から徒歩3~5分という便利な立地ながら、自然豊かな園庭があり、子供たちは木々の温もりを感じながら遊ぶことができる環境となっていました。
また、建築家の宮脇檀(まゆみ)氏が設計した木造の園舎や点在する芸術作品など子供たちの感性や想像力を育むことを重視し、少人数保育で個性を伸ばす教育方針の幼稚園だそうです。
まずは外観です。
屋根は片流れの大屋根で外壁は白のサイディングです。
屋根には特徴的なトップサイドライト用のドーマが3ヶ所
画像では判りにくいですが、三角形のトップライトもついています。
レンガタイルのR壁に丸窓の開いている部分は、実は園児用のトイレです。
園児用の出入り口です。ドアのデザインもおしゃれですね。
で、内部です。
三角形のトップライトは内部から見るとこんな感じです。
外部から見えていたトップサイドライトは内部ではこんな感じに納まっていました。
勾配天井を切り取った断面の切り口部分だけ鮮やかな色でペンキ塗りされています。
トップライトのディテールです。一部、雨が入った痕跡がありましたが、40年経っているとは思えないくらい、垂木と、壁の下見張りの木板はきれいでした。
この他にまだ紹介したい納まりはたくさんあったのですが、実際に使われている園舎なので画像はこれくらいにしておきます。
それで、肝心の耐震診断のほうですが、調査用にもってきたレーザーを当ててみたところ、建物の水平、垂直は建った当時のままで、いささかのくるいもなく、設計もさることながら、建設に携わった人達も相当な腕前だったものと思われます。
ただし、現在の耐震診断の方法では、このような構造の建物は技術的には限界耐力計算の方法をとらないといけないらしく、診断を受け持った構造の先生は頭をかかえていました。
普段なかなか見ることができない、有名建築家の建物を見ることができてとても有意義な一日でした。
執筆者:T・I