0.木造軸組工法
木造軸組工法には構造分類として以下の2種類に分けられます。
「壁構造系」耐力壁(筋かい・構造用面材など)を構造要素とした軸組工法(在来工法など)
「軸構造系」梁・柱などの軸材の接合部を耐力要素とした軸組工法(伝統工法、木質ラーメン構造など)
一般的に普及されている工法は「壁構造系」の木造軸組工法となり、普段言われる木造軸組工法は「壁構造系」木造軸組工法を指すことが一般的です。
門型フレームや方杖フレームなど接合部耐力を耐力壁要素とする構法もありますが、建物の一部にフレームを使用し主たる構造を「壁構造系」とすることが一般的です。
(門型フレーム参考:㈱カネシン プレセッター(金物工法)→http://www.kaneshin.co.jp/tech/presetor.php
また、木造軸組工法は接合部の種類でいうと、在来工法と金物工法に分けられます。
(違いについては後述します)
木造軸組工法とは、在来工法(金物工法)のこと という認識が一般的になっています。
<写真>軸組工法の構造模型(弊社作成模型)
小屋組は登り梁、一部トラス構造
1.在来工法と金物工法
木造軸組工法には、梁・柱などの仕口・継手をホゾ・鎌継(カマ)・蟻継(アリ)などの形状加工した在来工法と、仕口を金物(梁受け金物・ホゾパイプなど)とした金物工法(ドリフトピン工法)があります。
金物工法は在来工法に比べ木材の断面欠損が少なく、構造材には有利に働くという反面、金物の材料費で多少施工費が上がります。
仕口の方法が違うということ以外は基本的には同じ構造形態となります。梁受け金物は補強金物という位置づけになります。
実施工では、在来仕口と金物仕口のハイブリッドもあります。
(金物工法参考:㈱カネシン プレセッター(金物工法)→http://www.kaneshin.co.jp/tech/presetor.php
2.軸組工法の構造部位は、基礎(布基礎・べた基礎)と軸材の柱・束、横架材の土台・梁(桁)・母屋・棟木などを基本の材として構成されています。
屋根の荷重は母屋・梁などの横架材に伝わり、その荷重が柱に伝わります。柱に伝わった荷重はその下の梁・土台、そして基礎に伝わります。基礎に伝わった建物の全荷重を地盤が支えています。
建物の荷重は上から下へと柱・梁(軸組)を介して地盤へ伝えていきます。この建物の荷重は、建物を構成する材などの固定荷重、使用状況による積載荷重の合計荷重で長期荷重といいます。(多雪地域は積雪荷重も考慮します)
地震力や風圧力は建物に対して横からかかる力(水平荷重)で短期荷重といいます。短期荷重には耐力壁で抵抗します。
構造計算(部材検討)は、長期荷重・短期荷重に対して部材の安全性を確認しています。
3.木材
米松・ひば・ひのき・米栂・杉・スプルース(ホワイトウッド)・オウシュウアカマツ(レッドウッド)・ダフリカカラマツなどがよく使用される木材の樹種です。一般的に2×4工法で使用される木材(ツーバイ材)のSPF※を使用することもあります。
材種でいえば、製材(JAS等級材・無等級材)、集成材(EW※)、単板積層材(LVL※)となります。
※集成材を英語では「Laminated wood」と言いますが、構造用の集成材・LVL・合板などの総称「Engineered wood」の略称「EW」で表すことがあります。LVLは「Laminated Veneer Lumber」の略称です。SPFは北米原産のマツ科の製材で、スプルース(spruce)・松(pine)・もみ(fir)などの樹種を意味しています。
木材の強度は、樹種や材種により違います。また腐食性、防蟻性も異なりますので、部位による適材適所で木材を選択することになります。
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