7.耐力壁は釣合い良く前回では2×4に関する告示1540号、1541号の概要を取り上げました。告示の仕様規定では主に構造部材に関するものですが、建物全体をこの仕様規定通りにすることで最低限の安全性を担保させます。
特に地震や風などの水平力の作用を受ける時には、壁と床の規定を守ることの重要さも前回で触れました。ではプランニングや意匠設計をする上でどんな告示を特に注意する必要があるのでしょうか。壁の規定である第五から絞ってみたいと思います。
第五
二「耐力壁は釣合い良く配置する」
七「外壁の耐力壁線の交差部規定(両面開口)」
九「耐力壁の隅角部・交差部のたて枠本数の規定」
十一「耐力壁の上部には頭つなぎを設ける」
十二「開口幅 4m以下 かつ 耐力壁線の3/4以下」
十三「幅90cm以上の開口部にはマグサを設ける」
今回は第五の“二”の規定について説明します。
「二 耐力壁は、建築物に作用する水平力及び鉛直力に対して安全であるように、釣合い良く配置しなければならない。以下省略」
一般的に釣合良くとは、上記に上げたような告示を守ることを意味しています。
では、プランニングする際、特にどんな形状の建物に注意する必要があるのでしょうか。
良くあるケースが狭小間口の家やインナーガレージ付きの家などです。どうしても片方に壁が偏りがちとなってしまいます。
2F 1F
(これは告示の第五の十二を守れなかった例です。)
この様なケースでは構造的にはどのような現象が起きるのでしょうか。
地震の時、壁が少ない側は大きく変形し、多い側は小さな変形となります。
建物を平面的に見たときに横に揺れながら回転しているような揺れ方をします。
その結果、壁の少ない側が先に損傷しやすくなってしまいます。
設計者としては意匠としての開口と構造としての壁の選択は悩ましいところですが、建物の安全性を考慮するためにも忘れずにこの第五の二の「釣り合い良く」に気を付けたいものです。
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