- 国土交通省告示1540号の概略
どんな工法もプランニングや設計する上で、避けて通れないのは法律です。
前回、初級編(その1)の末尾でも触れましたが、2×4工法は仕様規定つまり技術的基準となる“告示”に準拠する必要があります。
今回はその2×4工法に求められる法律、また参考文献について取り上げます。
構造に関する記述も多く細かい説明が欲しくなりますが、今回は項目の紹介にとどめておきます。
まず、この告示には建築基準法施行令第80条の2第1号に基づく1540号と、建築基準法施行規則第8条の3に基づく1541号の二つがあります。
1540号は・・・
「枠組壁工法又は木質プレハブ工法を用いた建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件」という表題です。
簡単に言いますと、構造部材の制限や構造計画について書かれています。
1541号は・・・
「構造耐力上主要な部分である壁及び床版に、枠組壁工法により設けられるものを用いる場合における技術的基準に適合する当該壁及び床版の構造方法を定める件」という表題です。
簡単に言いますと、主に壁と床の構成、仕様について詳細に書かれています。
さて2×4をプランニングする際、ある程度この法律を理解した上で構造計画を同時に考える必要があります。特にこの制限は2×4工法にとって重要な要素であるため、壁や開口についての規定が多くなっています。
そのため2×4は自由度がないと思われがちですが、除外規定があるため幾つかのルールを守れば不自由さは意外と感じられません。ちなみにルールについては今後、掲載する予定です。
それでは告示の項目を簡単に挙げてみましょう。
告示1540号
項目 |
規定されている部位と仕様 |
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第一 階数 |
地階を除く階数は3以下 |
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第二 材料 |
一 |
横架材及び枠材 |
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二 |
面材 |
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三 |
認定部材 |
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四 |
鋼材 |
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第三 土台 |
一 |
1階 耐力壁下に土台を設ける |
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二 |
アンカーボルトの径・位置・間隔等 |
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三 |
土台の寸法 |
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第四 床版
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一 |
根太の寸法 |
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二 |
床根太の支点間距離8m以下 |
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三 |
床根太の間隔65cm以下 |
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四 |
床開口の補強 |
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五 |
耐力壁下の根太 |
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六 |
床合板の規定 |
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七 |
床版相互の緊結方法(釘本数) |
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八 |
コンクリート床 |
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九 |
特殊な床 |
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十 |
大引、床束による床版仕様 |
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第五 壁等 |
一 |
木質接着複合パネルの併用禁止 |
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二 |
耐力壁は釣合い良く配置する |
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三 |
小屋裏利用の扱い |
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四 |
枠材の寸法 |
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五 |
壁量計算 |
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六 |
耐力壁線相互の距離は12m以下 耐力壁線区画の短辺・長辺比 |
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七 |
外壁の耐力壁線の交差部規定(両面開口) |
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八 |
たて枠相互の間隔65cm以下 |
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九 |
耐力壁の隅角部・交差部のたて枠本数の規定 |
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十 |
屋外の耐力壁上下の緊結(金物)規定 |
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十一 |
耐力壁の上部には頭つなぎを設ける |
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十二 |
耐力壁線に設ける開口部の規定 開口幅 4m以下 かつ 耐力壁線の3/4以下 |
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十三 |
幅90cm以上の開口部にはマグサを設ける |
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十四 |
筋かいの欠きこみ禁止 |
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十五 |
壁各部の相互の緊結方法(釘本数) |
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十六 |
地階の壁の規定 |
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第六 根太等の横架材 |
横架材の欠き込み規定 |
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第七 小屋組等 |
一 |
たるき、天井根太の寸法 |
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二 |
たるき相互の間隔65cm以下 |
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三 |
たるきつなぎを設ける |
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四 |
トラスの規定 |
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五 |
たるきは金物により緊結する |
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六 |
小屋組には振れ止めを設ける |
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七 |
屋根版の風圧力 |
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八 |
屋根下地材の材種 |
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九 |
小屋組材相互の緊結方法(釘本数) |
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十 |
小屋の屋根に設ける開口部の規定 |
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十一 |
屋根開口部の補強 |
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十二 |
小屋束を用いた小屋の規定 |
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第八 防腐措置等 |
一 |
土台の下には防水紙等を施工する |
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二 |
土台の防腐処理規定 |
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三 |
地面から1m以内の構造部材の防腐・防蟻処理 |
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四 |
地面から30cm以内の外周の防腐・防蟻処理 |
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五 |
常時湿潤状態になる部分の金物さび止め |
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六 |
鋼材のさび止め |
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第九 構造計算 |
一 |
許容応力度計算 |
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二 |
接合部の検討 |
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三 |
風圧力による層間変形角 |
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四 |
地震力による層間変形角 |
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五 |
保有水平耐力計算 |
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第十 除外規定 |
一 |
偏心率の制限(0.15以下)を伴う除外規定 |
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二 |
偏心率の制限を伴わない除外規定 |
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第十ー 耐久性 |
耐久性等関連規定 |
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第十二 除外規定 |
保有水平耐力計算による除外規定 |
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告示1541号
項目 |
規定されている部位と仕様 |
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第一 壁 |
一 ~ 四 |
1540号 第五 一 ~ 四 と同じ |
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五 |
壁量計算及び壁倍率の仕様 |
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六 ~ 十五 |
1540号 第五 六 ~ 十五と同じ |
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十六 |
壁枠材と壁材の緊結方法(釘ピッチ) |
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十七 |
1540号 第五 十六 と同じ |
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第二 床 |
一 ~ 十 |
1540号 第四 一 ~ 十 と同じ |
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第三 除外規定 |
1540号 第九 及び 第十 に相当 |
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ちなみに、BX TOSHOでは、プランニングに関して構造計画を行う際の告示に関するご不明な点やご相談も承っております。
- 2×4工法の参考文献図書
2×4工法の参考となる資料についてです。今回は4つの資料を掲載します。
枠組壁工法建築物設計の手引(発行:一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会)
告示の解説、構造方法やその特性、防耐火等の設計基準について、その方法と計算上の留意点をまとめたものです。 |
枠組壁工法建築物構造計算指針(発行:一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会)
主に構造計算について解説したものです。計算方法や設計上の留意、材料、試験方法なども述べられています。また計算事例を付属のCD-ROMに収録してあります。 |
住宅性能表示制度における構造の安定に関する基準解説書(発行:一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会)
日本住宅性能表示基準の性能表示事項の「構造の安定に関すること」に区分される性能表示事項である耐震等級・耐風等級・耐積雪等級について、枠組壁工法に関する評価方法基準の解説をとりまとめています。 |
枠組壁工法住宅工事仕様書(出版社:一般財団法人 住宅金融普及協会)
2×4工法工事仕様書として,建築基準法に基づく告示や【フラット35】技術基準に基づく仕様を,分かりやすい用語解説や参考図、付録等が収録しています。準耐火の仕様についてもまとめられています。 |
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