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第46条 構造耐力上必要な軸組等(3)


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前回は令46条第2項について説明しました。
今回は第3項について書きたいと思います。

 

第3項
「床組及び小屋ばり組の隅角には火打材を使用し、小屋組には振れ止めを設けなければならない。」

 

建物の耐力確保のための重要な要素は、耐力壁だけではありません。
建物に加わる水平荷重(地震力・風圧力)が耐力壁にちゃんと伝わらなければ、耐力壁が有効に働かないことになります。
水平荷重がかかった時に、建物のゆがみを極力抑え、耐力壁に力を伝達する役割が床や屋根などの水平構面になります。

 

第3項の条文にある、火打材は直交方向に接合する梁や桁の接合部を補強し、ゆがみを抑え、水平構面の耐力を高める働きがあります。特に隅角部は建物のゆがみが大きく出やすい個所となるため火打を設けるよう規定されています。
一般的な建物仕様は、鉄筋コンクリートの基礎に土台を敷き、基礎と土台はアンカーボルトで適切に緊結しています。アンカーボルトが適切に配置されていれば土台の接合部がゆがむということがないので火打材(火打土台)を省略することも多くなりました。
2階などの上階の床は、下地合板に厚さ24mm以上の構造用合板を利用した根太なし(ネダレス工法)とすることも多くなりました。ネダレス工法の床構面(水平構面)は火打補強よりはるかに耐力が期待できるため火打材(火打梁)を省略している場合が多いと思います。
小屋に関してはやはり適切に火打材(火打梁)を配置することになります。
大きな吹抜や勾配天井(上げ天井)などで火打材を設置したくないという要望も聞かれますが、建物性能を考えるとお勧めしておりません(特に隅角部では)。
火打材を設けても素敵な空間をデザインしている作品も雑誌等で拝見することもあります。火打材を邪魔者ではなく、デザインパーツとして考えてみてはどうでしょうか?

 

小屋組の振れ止めとは、代表的なもので、小屋束に設けている「くも筋かい」などがそれに当たります。
これは屋根構面(水平構面)を有効に働かせるために役に立っている部材です。
構造計算をするとき、「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」通称グレー本を教本としていますが、同書では くも筋かいを4m間隔(たすきとする場合は8m間隔)で設置 と記載されています。
振れ止めはくも筋かい以外にも構造用合板などの面材で補強することも有効です。

 

さて、この条文にも「ただし書き」があります。
構造計算(水平構面の検討)によって耐力上安全であることが確かめられた場合は、条項の適用除外が謳われています。

 

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