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木造軸組工法の耐力壁~ 平成30年 告示の改正がありました ~


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最新コンテンツ「3分でわかる!木造住宅構造

-第7話- 耐力壁って何?

こちらにも参考記事があります!

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●耐力壁とは

 

耐力壁とは、地震力、風圧力に抵抗する構造耐力上主要な壁のことで、鉛直構面ともいいます。

(参照 用語集:耐力壁)

木造軸組工法の耐力壁は、建築基準法施行令第45条、平成12年告示1100号に定められているもののほか、認定系(住指発、大臣認定)、フレーム系(令46条2項)などの実験などにより性能を確認したものもあります。

その内の令45条、告示1100号の耐力壁を告示壁(こくじかべ)と表現することもあります。

認定系の住指発(じゅうしはつ)は建設省住宅局建築指導課長が発出した通達のことで、「昭和〇〇年住指発××号」などの認定番号がついている耐力壁があり、大臣認定は「FRM-××」などの認定番号がついている耐力壁があります。

フレーム系の耐力壁とは、告示壁でも認定系でもない耐力壁(鉛直構面要素)のことで、方杖フレーム、門型フレームなどで、実験により認定機関の性能評価を取得した商品などです。これは法的には令46条2項の扱いとなり、主要な構造材をJAS材または集成材などとすることや昭和62年告示1899号等の規定に準ずる必要があります。

ちなみに、準耐力壁とは、窓上の垂れ壁や窓下の腰壁など及び、耐力壁の仕様にはなっていないが、石膏ボードや構造用合板などを張る場合に多少の耐力壁要素として認められる雑壁のことを指し、品確法の性能評価基準の中で登場します。建築基準法的には認められていない壁なので令46条の壁量計算には算入できませんが、許容応力度設計では算入することも可能です。令46条の壁量計算の必要壁量算定用の係数は、この雑壁を見越した係数としているともいわれているので、準耐力壁を見込まない許容応力度計算での必要壁量より少ない結果がでるのはそのためと言われています。

 

●耐力壁の種類

 

耐力壁には告示壁、認定系、フレーム系がありますが、各系での主なラインナップは以下のようになります。

 

告示壁

・土塗壁(貫・小舞竹等の土塗壁)

・木ずり

・格子壁

・すじかい系(すじかい・鉄筋ブレース)

・面材系(構造用合板、石膏ボードなど)

 

認定系

・面材系

 

フレーム系、その他

・門型フレームなど

・その他の耐力壁要素

 

最近の一般的な耐力壁といえば、すじかい系(ブレース系)と面材系となります。

 

●耐力壁の標準的な仕様・ルール

 

耐力壁のヨコ・タテ比(アスペクト比)

すじかい 1:3.5 (壁長910㎜の場合は、高さ3185㎜まで)

面材系  1:5  (壁長910㎜の場合は、高さ4550㎜まで)

※認定系、フレーム系は商品の仕様等を確認すること

 

耐力壁として有効な壁長

すじかい    900~2000㎜

面材系(告示壁)600~2000㎜

面材系(認定壁)910㎜、1000㎜ モジュールの単位長(1P)

※認定面材は認定制度上、所得できる壁長は1Pとなる。

※認定面材のメーカーの自主試験により、1.5P、2P、600㎜長などのバリエーションを追加している商品もあります。ただし、認定仕様から外れているので耐力壁として有効かどうかの判断は建築主事等の見解にも左右されます。

 

認定面材は実験でその耐力を算出しているため、壁長のバリエーションを追加するにはメーカーによる自社試験により耐力が確認されている必要があるようです。

告示壁には認定面材のように細かな仕様制限はありません。壁長(柱‐柱距離)で2m以下とし、すじかい90㎝以上、面材60㎝以上というくらいです。

耐力壁のヨコ・タテ比は見落としがちです。階高が高い場合は要チェックです。

 

耐力壁の足し合わせについて

告示壁や認定壁は、それぞれの壁倍率の足し合わせは可能です。

令46条の壁量計算では、足し合わせによる壁倍率が5倍を超える場合は、5倍を上限として壁量計算に算入できます。

許容応力度設計の壁倍率の上限は特に設けていませんが、一般的な構造検討方法では7倍までの組合せ

を想定しているため実質的な構造計画では壁倍率が7倍を超えないようにしています。7倍を超える場合は、想定を超える力がかかるため各接合部の耐力を確かめる必要があります。

 

●告示壁の改正

 

平成30年3月26日付で、告示1100号の改正がありました。

 

前項でも書いていますが、告示壁の面材の壁長のルールは単純で、認定面材に比べてとても使い勝手の良いものですが、告示面材壁の弱点が床勝ち仕様が少ないことや壁倍率が小さい ということでした。

 

床勝ち仕様とは・・・

面材耐力壁の納まりは、

 

・大壁仕様

・大壁床勝ち仕様

・真壁仕様

・真壁床勝ち仕様

 

があります。

 

大壁仕様は、建物の外周部などの納まりで、梁・土台や柱の外側から面材を張り付ける仕様。

大壁床勝ち仕様は、床の下地合板を先行施工して、梁と柱の外側と床下地合板に受け材を設置して面材を留めつける仕様。

真壁仕様は、梁・土台と柱の内側に受け材を設置して面材を留めつける仕様。

真壁床勝ち仕様は、床の下地合板を先行施工して、床下地合板に受け材を設置した真壁仕様。

 

これまでの告示壁の大壁床勝ち仕様は、主に石膏ボードの仕様として規定されていました。

構造用合板の告示壁仕様には大壁床勝ち仕様がなく、バルコニー部の外壁側に面材耐力壁を設置する場合は認定面材を指定するしかありませんでした。壁長が1Pの場合は認定面材でも対応できますが、1Pから外れていると構造的に結構厳しいところがありました。

 

告示の改正により、大壁床勝ち仕様に構造用合板壁などの外壁面に使用する面材のバリエーションが加えられました。

また、面材を留めつける釘などの種類や留め付けピッチなどの調整によりより高い壁倍率のバリエーションも加えられました。

壁長の規定もそのままで、バリエーションの増加となる今回の告示改正は要注目です。

改正告示の面材耐力壁一覧

 

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